「寝取られ」 目の前で同じ事したらうれしい?③
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そして千春とほぼ同時に私も絶頂に達した。
気がつくと涙が頬を伝っていた。
解っていたことだが、やはり辛かった。
ビデオの中はまさに”知らない世界”だった。
信じられない光景を目の当りにし、しばらく放心していた。
ビデオの中の千春は私の全く知らない千春だった。
まるで多重人格者のようだ。
しかし明らかに千春は高平とのSEXを楽しんでいた。
そしてなにより私と一緒にいる時より輝いて見えた。
ビデオの中の千春は高平の上に跨っていた。
そして自分の手でそれ挿入しはじめた。
高平が起き上がりそのまま座位の体制になる。
ベッドが激しく揺れる。
そして千春と高平は舌を絡ませあっていった。
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私はビデオを停止した。
目の前で繰り広げられる映像を
これ以上見るのが耐えられなかった。
週末再び千春はやってくる。いつも変わらぬ千春がやってくる。
自分で選んだ道だ。私は全てを見る事を選んだ。
全てを見た。そして確信した。
千春との”別れ”を決意した。
金曜日、いつものように千春が泊まりに来た。
私の家には千春の私服がいくつも置いてある。
だから週末は会社帰りにそのまま私の自宅へ直行するが通例だ。
その日の夜、私は千春を抱くことはしなかった。
口には出さなかったが、千春が求めてきたのが解った。
私は欲情を抑え、千春に背を向け目を閉じた。
悲しいかな今の私は狸寝入りするのが精一杯の抵抗だった。
私の知る千春はここでさらに求めてくるような女ではない。
それはビデオの中のもう一人の千春だ。
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次の日、つかのまの休日を千春と二人で過ごした。
千春にとってはいつもの休日。
そして私にとっては千春との最後の休日だった。
映画を見た、ショッピングした、
試着して千春が一番似合った服をプレゼントした。
いつもよりちょっと高めのディナーをした。
その後普段行かないようなバーに入った。
いつも並んで歩く駅からの帰り道。
この日二人は手をつないで自宅まで歩いた。
自宅に着いてまもなく千春が浴室へ向かった。
私は少し飲みすぎたようだ。
千春が入っている浴室のドア越しに私は立っていた。
「良ちゃんそこにいるの?」
「ああ。一緒に入っていいか?」
私は普段こんな事は言わないし、
二人で風呂に入った事などない。
「酔っ払ってるの?もうすぐ出るから待ってよ。」
私は既に裸だった。
そして強引に狭いユニットバスの中へ入っていった。
「ちょ、ちょっと良ちゃん!何してんのよ!」
「いいだろ別に?」
「んもう・・しょうがないなあ・・
でも私もう出るからね。」
「もう少しいいだろ」
私は千春を強引に抱き寄せた。
強引に舌を絡ませた。
胸から陰部へと指を這わせる。
千春のそれはおびただしい量の愛液で包まれていた。
シャワーの水とは明らかに違うそれは、
ビデオの中の千春を想像させた。
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「すごい濡れてるね。」
「アホ!」
千春にげんこつされた。
いつもの千春に戻ったのを見てなぜか高平に嫉妬した。
「じゃあ私先にでるね」
「先に出て待ってるって言う意味か?」
「アホ!!」
半ば照れ隠しに千春は浴室から出て行った。
それにしても普段無口な私が、この日はよく喋った。
そうさせたのは言うまでもなく酒と、そして
今もビデオデッキに入ったままのあのビデオテープだった。
浴室を出ると部屋は真っ暗だった。
ベッドの上が膨らんでいる。千春が布団の中にいる。
明らかに私を誘っている。千春から私を誘っているのだ。
こんな千春は初めてだった。
布団に入ると千春は下着姿だった。
「なんか今日のお前変だよ?」
「変なのは良ちゃんでしょ!!」
「どうせなら全部脱いでおけばいいのに」
「私にはこれが限界です」
また高平に嫉妬した。
私にとっての千春の限界線は所詮下着姿なのだ。
私は頭に血が上り、強引に下着を剥ぎ取った。
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私は千春と口を重ねる事もなく
布団の下へと潜っていった。
千春の足を広げ局部に顔をうずめる。
「良ちゃ・・・」
千春がなにやら話そうとしたが、
すぐにそれは息遣いに変わっていった。
いつもと違う事に千春は感じている筈だ。
そしてこの日千春はそれを受け入れた。
いや、千春のそこから溢れ出す愛液を見る限り
むしろこれを望んでいるかのように感じられた。
布団を剥ぎ取り千春の顔を覗き込む。
「気持ちよかった?」
「布団かけてよ」
「だから気持ちよかった?」
「ねえ・・どうして今日はそういう事言うの?」
「たまにはいいじゃん。それよりすげー濡れてるよ。」
「ねえやめてよ・・
そういう事言うの。早く布団かけて。」
「いいじゃねーか別に。ほらこれ見ろよ。」
愛液を手につけ千春に見せつける。
それを見て千春が顔をそむける。
「なあ裏ビデオ見る?」
「良ちゃん?いい加減にしないと怒るよ。」
「なんでいいだろ?ビデオ見ながらやろうぜ。
きっともっと濡れるよ。」
千春が私を睨んだ。
千春の大きな瞳で睨まれ、私は思わず視線をそらした。
このビデオを見せたら千春はどういう行動を取るだろう
どれほど傷つくだろう。
千春との”別れ”が目前に迫っていた。
このビデオを再生すれば全てが終わる。
「よし!見ようぜ!」
私は起き上がりテレビをつけた。
すぐにビデオの画面に切り替えた。
そしてビデオのリモコンに手をかけた時、
千春が大声を上げた。
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「私帰る!!」
千春は立ち上がり服を着はじめた。
千春は私に背を向けたままそれ以上何も言わなかった。
こうなることは初めから予想できた。
言うまでも無く千春はビデオの中身を知らない。
このままではただの喧嘩別れになってしまう。
真実を知らせないまま別れる訳にはいかない。
私はこみ上げる涙をこらえ、静かに再生ボタンを押した
再生音の後すぐに画面から女の声が聴こえてきた。
「馬鹿みたい!私帰るから!今日の良ちゃん変だよ」
着替え終わった千春が私の方を振り向かずそう言った。
しかしテレビの中の千春は止まらない。
(あぁぁ・・高平さんも・・・
早く・・早くして?・・ぁあ・・)
玄関へ歩き出そうとした千春の動きが止まった。
目の前にある窓ガラスが
現実の千春のその姿を映し出していた。
「ど・・・どうして!?」
千春の声は悲鳴に近かった。
「それはこっちが聞きたいよ・・・」
私は不思議と冷静だった。
「見ろよ千春。お前ってこんな事する女だったんだな・・最低だよお前は。」
テレビの中の千春が私の名を叫び絶頂を迎える時だった
私はテレビのボリュームを上げた。
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私は千春が一番傷つくであろう言葉を選んだ。
そして一番傷つくであろう行動を選んだ。
そうする事で自分自身にけじめをつけたかった。
「やめてよっ!!!」
千春が私からリモコンを取り上げた。
映像は再び黒い画面に切り替わった。
画面の右上には”ビデオ1”の文字だけが
怪しく映し出されていた。
千春がビデオデッキからビデオテープを取り出した。
テープの中から磁気テープを引き出し始めた。
泣きながらそれが無くなるまで千春は続けた。
私はその全てを見届けた。
不思議と酔いが覚めていた。
いや、始めから酔った振りをしていたのかもしれない。
磁気テープの山に埋もれ、
まるでへたり込むように
座って泣いている千春に話しかけた。
「俺の知らない千春がいっぱいいたよ。
そのタイトル通り”知らない世界”がそこにあった。」
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「寝取られ」 目の前で同じ事したらうれしい?②
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これは男からのメッセージだ。
今回のカセットテープには、
これに登場してくる”千春”なる人物が
私の名前を口にしている。
こうした証拠がありながら、
それでも私は認めたくなかった。
それほどまでにテープの中の千春は、
私の知っている千春とは程遠い存在だったのだ。
どうしても同一人物と思えない。
千春と重ねることができない。
「ビデオ」
では実際に映像で見たらどうなるのだろう。
千春に対する意識が変わるだろうか?
変わってしまうだろう。
恐らく私は千春を許さないだろう。
でも今現時点なら許せる。
自分でもまだ認めたくないからだ。
だからこそ「ビデオ」が届く前に
千春に知らせなければならない。
そして私はそれを見てはいけない。
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再び携帯電話の画面に目を移す。
アドレス帳の一番上にある千春の名前・・・
千春の携帯電話のアドレス帳・・
一番上は誰の名前だろう。
千春にとっての一番は誰なんだろう。
変わりたくは無い。千春を失いたくない。
目を閉じ千春を想い浮かべた。
そして・・・私は発信ボタンの2個隣にある
”OFF”ボタンを押した。
その日は平日にも関わらず私は自宅にいた。
先週の日曜日出社したための代休日だ。
私はどこにも出かける気になれず、
自宅で読書にふけっていた。
ふと窓の外から、聴きなれた声が聴こえて来た。
千春の声だ。
私のアパートの斜め向かいに住んでる
年配の女性と会話しているようだ。
私はここに住んで早4年目を迎えるが、
ほとんど会話した事がない。
無論挨拶程度はするが、
この女性の睨み付けるような目がどうも好きでなかった
その点千春は誰とでも仲良くなれる。
千春のそういう所が好きだった。
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(あれ今日は仕事お休み?)
(ううん、さぼり。ロクなもの食べてないと思うから何か作ってやろうかと思って。)
私の事だ。
千春とその女性はしばらく立ち話をしていた。
(・・千春ちゃん、男はあまり信じちゃだめよ・・
もし別れたら言って頂戴・・うちの息子紹介してあげる。
いい男よ~・・まだ独身なのよ。)
大きなお世話である。
千春に内緒話をしているようだが、全部聴こえている。
年寄りの内緒話は声が大きいので
あまり内緒にならないのが特徴だ。
(あはは、ありがとう。
まあ、ふられたらお願いします。)
しばらくして玄関のチャイムが鳴った。
千春がスーパーの買い物袋を下げていた。
スーツ姿のままだった。
「急にどうしたんだ?つうか全部聴こえてるぞ。」
「だと思った。お年寄りは耳が遠いでしょ?
だから自分の声も大きくなっちゃうの。
あれ何?やきもち焼いてるの?かわいいねえ。」
「あほか。お前こそなんだ?
俺に会いたくなったんだろ?」
「いや営業の途中で気分が悪くなって・・
まあいいや。さぼった。」
相変わらずの会話だった。
「たまには何か作ってあげる。つうか肉じゃがだけど。」
「なんで肉じゃがなの?」
「男は愛する人に”肉じゃが”
作ってもらうと嬉しいんでしょ?」
「まあ何でもうれしいよ。ところで作れるん?」
「当ったり前でしょー?まあ座って待っとけ!」
肉じゃがの材料と一緒に、
料理の本まで買ってくる所が千春らしい。
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私はベッドの上に腰掛け、台所に立つ千春を見ていた。
千春は時々隠れてレシピを見ているようだ。
ふと私は千春を試して見たくなった。
「千春。SEXしよう。」
千春が一瞬驚いたような表情をした。
私は普段こんな事は口にしない。
千春がどういう反応をするか見てみたかった。
「アホ!真昼間から何言ってんの?
すぐ出来るから茶でもすすっとけ!」
そういって千春はペットボトルの緑茶を投げてよこした
やはりいつもの千春だ。私の知っている千春だ。
千春は肉じゃがが出来ると器に盛り、
先ほどの年配の女性の自宅へ届けに行った。
あの女性は夫に先立たれ今は一人暮らしの筈だ。
そういう事を知って千春は行動している。
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夜になり、千春を抱いた。いつもと同じ様に抱いた。
いつもと同じ様に恥じらいをみせる。
いつもと変わらぬ千春がそこにいた。
ビデオが届いたのはそれから2週間後の事だった。
前回のより一回り大きい茶封筒。
もう中身は見なくても解った。
部屋に戻り、ビデオテープを取り出した。
タイトルにはこう書かれていた。
「あなたの知らない世界」
意味は考えるまでもない、千春の事である。
私の知らない千春がこのテープに収まっている。
カセットテープの時とは比較にならない程、
鼓動が高まっている。
ビデオテープを持つ手が震える。
私はこれからこれを見る。
そしてある決断を下す事になるだろう。
言うまでも無く千春との”別れ”だ。
そう考えると涙がこぼれた。
テープを握り締めしばらく泣いた。
・・そして想いを断ち切るかのように、
ビデオデッキに挿入した。
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テレビの電源をつけ、ビデオの画面に切り替える
そしてまもなく黒い画面が切り替わった。
女性の局部が画面いっぱいに映し出された。
そして・・
悲しい事にそれは見覚えのある形だった。
画面の横から見知らぬ男の顔が入って来た。
男はそのまま局部に顔をうずめていった。
執拗に舐めまわす男の舌、
濡れているのが唾液だけで無い事がわかる局部。
女は突然痙攣するように反応している。
そして悲しんでいるように喘ぐ女の声が聴こえる。
男は舐めるのを中断し、
ビデオカメラに手をのばしてきた。
カメラが固定から男の手に替わった。
画面が揺れる。
先ほどまで舐めまわしていた局部にカメラを近づける。
濡れて嫌らしく光るそれは、
恥ずかしげもなく画面いっぱいに映し出されていた。
カメラはそのまま上に移動する。
見覚えのある陰毛、見覚えのある胸。
そして見覚えのある顔・・
恥ずかしそうに笑って顔そむけるが間違いなく千春だった
「千春ちゃん恥ずかしいですかあ?」
男が千春に向かって話しかける。
「恥ずかしいですう・・」
笑って千春が答える。
その笑顔は悲しくなるほど綺麗だった。
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「高平さん、本当に誰にも見せないでね・・」
「ええーどうしよう・・彼氏に見せてあげたいなあ・・」
「だめだめだめ!ほんとにやめて?
ね?高平さんのオナニー用!」
「わかったわかった。
でもさ彼氏の前でもこういう姿みせてあげなよ。
可愛そうだよ。」
「良ちゃんは高平さんとは違うの!もうカメラ止めてよ~」
男は相変わらず私を挑発する。
この男は高平という名前のようだ。
千春との会話でも聞いたことの無い名前だった
惨めさと興奮が入り混じる。
私は高平の挑発に見事にのっている。
高平はそれを一番見たい筈であろう、
高平と千春のSEXを見ながら
私がマスターベーションをする姿をだ。
その暗示に掛かるようにわたしはズボンを脱ぎ始めた
・・そしてそれを予想してたかのように、
高平は千春にも同じ事を要求した。
「千春ちゃん。オナニーしてよ、これで。」
高平の手には小型のローターが握られていた。
高平は私に見せるかのように画面のまえで揺らしてみせた。
無論私はこのような類を
千春とのSEXで使用したことなどない。
そういうSEXを一番嫌がるのは千春だと思っていたからだ。
「えぇ~・・・カメラの前では恥ずかしいなあ・・」
千春が発した言葉からは、
既に経験があると言う事が推測できる。
千春が男の前でそんな事をするのであろうか?
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「いいじゃん。俺もこれ見てオナニーするんだからさ。お互い様。」
「ええ・・じゃあ高平さんもそこでして!ね?して?」
千春の甘えた声が許せなかった。
しかし心のどこかで
千春のそんな姿を見てみたい気がしていた・・・
「わかった。するからさ。早くしてよ。」
千春はベッドの上で壁にもたれかかる様に座った。
そしてカメラの前で再び足を広げていった。
千春が自らの手でローターを局部に当てた。
そして自らの手でそのスイッチを入れた。
その瞬間小さな機械音が聞こえて来た。
千春は苦悶に似た表情に変化した。
カメラはその全てをレンズに収めていた。
「あぁぁ・・高平さんも・・・
早く・・早くして?・・ぁあ・・」
「わかった。イク時は言ってね。
すごい興奮するね。かわいいよ千春ちゃん。」
高平の息遣いが聴こえてきた。画面が揺れ始めた。
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千春の声がだんだんと大きくなってゆく。
千春が腰を上下しはじめる、
こんな姿を見るのも初めてだった。
「あ・・いくぅ・・いきそう・・」
「ほら良ちゃんは?
いつもみたいに謝りながらイって。」
「アァァァァァ・・!りょーちゃん!
ごめんねりょーちゃん!アァァイクゥゥゥ!!」
カメラの前で千春が絶頂を迎えた。
ひとつ解ったことがある。
千春は私とのSEXで絶頂を迎えたことはない。
悲しいかなそれを画面を通じて理解した。
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千春との出会いは今から4年半前になる。
同じ専門学校で同じクラスになったのがきっかけだ。
出会った頃の千春にはいわゆる”色気”というものを
感じた事がなかった。
この頃の女性は高校時代には禁止されていたであろう
あらゆる策を講じ色気を装う。
しかし千春にはそれが無かった。
活発でいつも明るく、化粧もしない。
そんな飾らない千春が私にはたまらなく魅力的だった。
私の他にも千春に想いを寄せる奴らはいたが、
それを巧みに笑ってあしらうのも千春ならではの技だ。
千春とつきあう事になったのはそれから1年後の事だった。
付き合ってからも千春は変わらなかった。
いつも友達のような感覚。でもそれが又嬉しかった。
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千春とのSEXは週に一~二回程度。
週末に私の家に泊まりに来る。
SEXの時の千春は普段と打って変って静かになり、
恥じらいさえも見せる。
普段”性”を感じさせない千春が性を見せる瞬間。
この時だけは”女性”の表情なる。
私だけしか知らない表情だ。
そう思うとたまらなく愛しくなり、
私自身、優越感にさえ浸ってしまう。
そして又、いつもの千春に戻ってゆく。
上京した私は都内にワンルームのアパートを借りていた。
狭い部屋だったが、
千春と二人で過ごすには十分な広さだった。
千春といる時はいつまでもこんな日が
続けばいいと思っていた。他に何も望まなかった。
しばらくして千春が就職活動を行うようになった。
無論私も同様である。
交際してから初めて千春の化粧姿を見た。
驚く程綺麗だった。
スポーツで鍛えられた見事なプロポーションは
リクルートスーツがよく似合っていた。
思えば、その頃から千春は普段から
”性”を見せる”女性”に
なっていったのではないかと思う。
私はまた大きな優越感に浸りながら、
その反面この頃から不安を感じるようになっていた。
そして事実この不安は的中する事になる。
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「付き合ってどれ位?」
千春との交際期間を聞かれると
私は迷わず「3年」と答える。正確には”3年半”だ。
しかし私はその”半”を認めたくなかった。
この半年間は千春との交際期間には加えたくなかった。
一年半前に遡り、ここからの半年間は、
私にとって絶えがたい苦痛の毎日だった。
千春との別れを考えたのはこの期間だけだった。
4月を迎え、二人は共に就職することになった。
4社目にしてようやく内定をもらった私に比べ、
優秀だった千春は一発で第一志望の
大手人材派遣会社に就職が決まった。
週に一度千春は泊まりに来る。
そのペースは就職しても変わらなかった。
変わったのは私の千春対する意識だ。
スーツ姿の千春を見ると
どうしても欲情が湧いてきてしまう。
化粧した千春の表情にどうしても”性”を感じてしまう
玄関で出迎え、
そのままベッドに押し倒すこともあった。
しかし、会う度色気が増してくる来る千春に対して
私は益々不安になっていった。
こんな事を他人に話してもただの
”のろけ話”にしか聞こえないだろう。
事実二人は愛し合っていたし、
千春も男の気配など微塵も感じなかった。
無論私も浮気などしていない。
それでも恋人の事を不安に感じるのは
至極自然な感情であると思う。
愛していればこそだ。
さらに時が過ぎ、お互い入社2年目に迎えた頃の事だ。
窓の外を見渡せば桜も散り始めた頃、
その手紙は届いた。
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差出人は不明、消印も無い。
ポストに無造作に投げ込まれたようなそれは、
明らかに直接投函されたものだ。
茶封筒に若干のふくらみがあった。
中には一通の手紙とカセットテープが入っていた。
不思議に思い、すぐにその場で手紙を開いた。
「お前は何も知らない」
たった一行だけ記されていた。
しかしそのたった一行は、
私を疑心暗鬼に陥らせるには十分過ぎた。
とっさに千春の事が頭に浮かんだのだ。
嫌な予感がした。
私は同封されていたカセットテープを手に取り、
部屋へ入った。
部屋に入り、もう一度手紙を眺める。
しかし、やはりそれ以上の事は書いていない。
「何も知らない」とはどういう事なのだ。
千春の事だろうか?
どうしても千春と結びつけてしまう自分がそこにいた
そしてその真実がこのカセットの中にあるはずだった
しかし、音楽を聴かない私は
これを再生する機器を持ち合わせていなかった。
そんなの千春に頼めば済む話だったが、
なぜか頼めなかった。
自分でまず確認したかったのかもしれない。
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私は近くのリサイクルショップまで
出掛け3000円でヘッドフォンラジカセを購入した。
自宅までの帰り道が遠く感じられた。
不安でどうしようもない自分がいる。
自宅へ到着するなり飛びつくようにカセットを掴み
買ってきたばかりのヘッドフォンラジカセに挿入した
ヘッドフォンを付け、高鳴る鼓動を抑えながら、
静かに再生ボタンを押した。
突然激しい息遣いが耳に飛び込んできた。
明らかに男と女が入り混じった息遣いだ。
「・・・あぁ・・・もう・・
きそう・・・あぁ・・いきそう・・」
雑音が入り混じり、
男が何か話かけるがよく聞き取れない。
「・・さん・・しないで・・はあん」
「あぁん・・んん・・・・い・・いくううう!!」
急に女の声が高く大きくなった。
その後男がまた何やら話し掛けているようだが、
よく聞き取る事が出来ない。
女も甘えた声で受け答えしているようだ。
およそ5分程の内容だったが、
私はつかのまの安堵感を得たような気がした。
この女の声は断じて千春では無い。
千春の声はもっと低い、
そしてこの様な甘えた声など出さなかった。
少なくとも私とのSEXでは。
しかし、なぜこれを私の所に送ってきたのか?
「何も知らない」とはどういう意味だ?
届け先を間違えたのでは無いか?
さまざまな考えを巡らせながらも、
一抹の不安は拭い去ることが出来なかった。
しかし、何の確証もなしに
千春を責めることはできない。
いや聞くことすら許されないだろう。
きっと千春は傷つくはずだ。
わたしの知っている千春はそういう女性だ。
こうして不安は消えないまま、
それでも忘れる事にした。
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またしばらく時が経った。
千春との交際は相変わらず変わらない。
そして前の出来事を忘れかけていた時、
再び一通の茶封筒が届いた。
そして今度はカセットテープだけが同封されていた
また再び強い不安に襲われた。
そして部屋に戻るなり一目散に押し入れに向かう。
一度聞いただけで使わなくなった、
ヘッドフォンラジカセがそこにあった。
イジェクトボタンを押すと、
そこには見覚えのあるカセットテープが入っていた。
それを取り出し、
今届いたばかりのテープと交換する。
聴かない方が良いかもしれない。
思い浮かべるのは千春の事ばかりだった。
それでも私はこの再生ボタンを押した。
また同じような激しい息遣いが聞こえてきた。
違うのはその音質だった。
以前のと比べ、驚く程鮮明に聴き取れた。
それは悲しい程に鮮明だった。
「なあ?どう?もうイキそう?」
「あぁん・・んん、はあ・・も、もう少し・・」
「千春はほんっとすけべな子だねえ・・
見てみホラ、マンコがバイブ咥えちゃってるよ。」
「はぁん・・そういう事言わないで・・・あぁ・・」
「ほらほらクリちゃんにも当たってるよ。イキそう??」
「ん、はぁ・・うん・・・はぁ・・いきそう・・・」
「千春は悪い子だねえ・・彼氏が泣いちゃうよ?
ホライク前に彼氏の名前言ってごらん。
い・つ・も・みたいに。」
「はぁ・・りょ、りょーちゃん・・・ああいくう・・」
「”良ちゃんごめんね”だろ?ほらやめちゃうよ?」
「あぁぁぁ・・意地悪しないで・・
ごめんね良ちゃん・・ごめんねえあぁぁぁぁぁ!」
男がわざと私に伝わる様に話しているのは
火を見るより明らかだった。
それに比べ千春はまったく気づいていないようだ。
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少し間が空いて、聞き覚えのある音が聴こえてきた。
千春が男のそれを咥えている音だ。
男はわざと聴こえるように近くでやらせている。
そして音を立てさせている。
再び男が喋りはじめた。
「ああ・・千春・・今度ビデオ撮ろうぜ・・」
「んん・・んんん・・」
「いいだろ?千春と会えない時に
それでオナニーするんだよ。」
男は千春に咥えさせたまま喋っているようだ。
「よし・・いいぞ・・
上にまたがってくれ・・・自分で入れるんだぞ。」
男は明らかに私を挑発している。
しかも私の事をすべて見抜かれているようだった。
テープの中で繰り広げられる様々な淫らな行為は
私と千春の間では経験した事が無い事ばかりだった。
それを知ってて男はやっているのだ。
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気が付くと涙がこぼれていた。
これは間違いなく千春だった。
そして私の知らない千春だった。
私の名を叫び絶頂に達した千春の声は悲しい程鮮明で
激しく、そしてヘッドフォンを通し
悲しい程興奮している自分がそこにいた。
カセットテープを2度に渡り、
私の自宅に届けたのはこの男に間違いなかった。
無論前回のテープに出てきた女も
千春だったのは言うまでもない。
しかし、なぜ私の家を知っているのか?
そして千春はあんな甘えた声を出す女だったのか?
すぐに千春に問い詰めるべきだった。
そうしなければならなかった。
私は携帯電話を手に取った。
言うまでも無く千春を呼び出す為だ。
アドレス帳の一番上に千春の名前がある。
しかし、なぜか発信ボタンを押す事が出来なかった
最後に男が発した”ビデオ”という
言葉が頭に残っていた・・
おそらく男はこれも届けるだろう。
その為にわざわざこの言葉を選んだのだ。
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「寝取られ」 あの清楚で可愛い妻が私を裏切った(最終回)
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金に困っている筈の課長が、
百万もの現金を持っていたのも不思議でしたが、
それよりも、人事権の無い課長が、
困ると思った部署替えの件を、
すんなり了承した事に驚きました。
詫び状を書かせ、何かスッキリしない気持ちで家に帰ると
妻はまだ泣いていて、私の顔を見るなり、
課長とどうなったかも訊かずに謝り続けています。
「京子、本当に悪いと思っているのか?
本当に心療内科へ行ったのか?」
妻は何度も頷き、バッグの中から診察券を持ってきました
疑れば桐が無いのですが、
ばれた時の為に医者に行ったとも思え、
私も話を訊きたいので今度一緒に行くと言って反応を見ると
「お願いします。ありがとう。」
縋るような目で私を見ながら言いました。
カウンセリングには一緒に通う事にして布団に入っても、
先程の課長の事と妻の告白の中に有った
“今は大事な時期”というのが、
何か関係が有る様で気になり寝付けません。
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次の日、課長の顔は腫れていて、課の社員達が、
どうしたのか尋ねると。
「夕べ帰り道で誰かと殴り合いになったのだが、
酔っていてよく分からんのだよ。そんなに腫れているか?」
私はそれを聞き、右手をポケットに入れて隠しました。
「課長。警察に届けなくていいのですか?
届けた方がいいですよ。」
「いやー、俺も可也殴った様な気がするから、
相手の怪我の方が酷いんじゃないかな?
警察はやめておくよ。」
課長の手は腫れも傷も無く、
綺麗な手をしていたにも関わらず、
殴り合いの経験が無いのか社員達は、
その事を疑問にも思わないで、
課長と一緒に笑っていました。
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この日、離婚届を持って家に帰ると、
妻は玄関まで出迎えに来た後、私の着替えを手伝い、
キッチへ戻って、私と妻の夕食の準備を続けました。
子供達はもう寝ていたので、
離婚届をテーブルに開いて置くと、
それを見た妻は手を止め、うずくまって泣き出しました。
「京子、離婚しようという訳ではないんだ。
俺は正直、京子を全面的に信用出来ないでいる。
また出張に行ったら、仕事も手に付かないと思う。
だから今後少しでも不信な所が有れば、
それが浮気で無くて俺の思い過ごしでも離婚しようと思う。
もう京子を疑って生活するのに疲れた。
だから京子が署名した離婚届を、お守り代わりに持っていたい
京子には、それ位の事をする義務は有るだろ。
俺に不信感を与えなければ、俺は絶対に署名しない。」
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妻は泣きながら署名しましたが、
手が震えて上手く書けません。
どうにか書き終えると、私に抱き付き。
「お願い出さないで。一生懸命償うから出さないで。
もう二度としないから出さないで。お願い。お願い。」
「京子次第だ。」
その後の妻は、近くのスーパーに行くだけでも、
行く時に家から携帯に電話し、
家に戻るとまた電話をしてきます。
また、私が家に帰るとこれが大変で、私の後を付き歩き、
1日の行動を事細かに、必死に報告します。
実際そうだったのかは分かりませんが、
妻の必死さから信用する事にしました。
普段の生活では、タバコに自分で火を点けた事が無いほど
世話を焼いてきて、お風呂に入っても、座っているだけで、
自分で洗ったことが有りません。
カウンセリングに行く時などは、
まるでデートでもしているかの様に、
一緒にいるのが楽しくて仕方ないようでした。
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妻は気付いていないかも知れませんが、
一緒にいる時だけは疑われなくて済む
ので、自然と気が楽になるのだと思います。
課長はと言えば前回とは違い、
私が1人になると必ず側に来て、謝罪の言葉を言います。
課長が部長に何と言ったのかは分かりませんが、
課長が社長のお気に入りだと
言うことも有り、約束どおりこの月から私の出張も減り
少し寂しい気もしましたが、
今迄家庭の事を妻に任せ切りにしていた事を反省して、
妻や子供達との時間を増やしました。
しかし、あの課長が本当に反省したとは考えられず、
会う度に謝り続ける課長を
最初は今度の事が決着していないので、
私に媚を売っているとも思いまし
たが、あれだけプライドの高い課長が、
ここまでする事に疑問を持ち、私に謝罪すればする程、
何か有るのではないかと疑っていました。
夜の生活は、私がなかなかその気になれず、
前回の事も有ったので、
このままでは駄目だと思いましたが、
思えば思うほどその気にはなれませんでした。
カウンセリングの先生は、焦らず気長に、
もっと気を楽にしてと言ってくれるのですが、
そう言われれば言われるほど気は焦り、
気持ちとは裏腹に、その様な行動に出られません。
そんな状態が続き、新しい年を迎え、
子供達が元気になった儀父の所に泊まり
に行った日、妻と一緒に風呂に入って、
いつもの様に洗ってもらい、先に出た
私が寝室で椅子に座ってテレビを見ていると、
妻は入って来るなりテレビを消して、
テレビの前で立ったままパジャマを脱ぎ出しました
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妻は以前買った、黒い透けたブラジャーと
やはり黒で透けているTバックを穿いていて、
顔を見ると濃い目の化粧がしてあり、
目には涙が溜まっています。
「もう私では駄目かも知れないけど、
あなただけでも気持ちよくなって。」
妻は椅子に座ったままの私の前に跪くと、
強引にパジャマのズボンとパンツを
一緒に脱がせ、咥えてきました。
私は我慢出来なくなり、
妻をベッドに連れて行くと全て脱がせて、
自分も全裸になり、妻とは逆の方向に覆い被さり、
しばらくお互いの敏感な所を刺激し合い、
私がスキンを着けて妻の中に入ると、
妻も下から激しく腰を使いながら。
「あなた、早くいって。早く出して。」
私は出そうなのを我慢して腰を動かし続けると、
妻は大きな声で喘ぎだし。
「早く出して。早く出してくれないと、私も。私も。」
妻は、以前与えた罰の事を覚えていて、
自分は気を遣っては駄目だと思っていたようです。
「京子、いってもいいぞ。一緒にいこう。」
「いいの?私もいいの?いいの?あなたー。」
妻は気を遣った後私に抱き付き、
声を出して泣いています。
私は、もう一度妻に咥えてもらい、
元気なった物を妻の中に入れ、今度はスキンを付けずに、
久し振りの感触を楽しみ、最後は妻に飲んでもらいました。
その後は毎日の様に愛を確かめ合いましたが、
こんな事は新婚の時以来初めてです。
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妻の告白を聞いても、妻への怒りは変わりませんでしたが、
妻の言う事が本当なら、私にも責任が有ると思いました。
ただ、発覚した為に言っているだけでは無いだろうか?
本当に別れたのか?セックス依存症などと言う
病気が有るのか?それより、本当に心療内科に行ったのか?
など疑問が浮かびましたが、
そんな事より課長への怒りの方が強く、
気が付くと課長のマンションへ車を走らせていました。
私は両親を相次いで病気で亡くし、
歳の少し離れた姉と共に祖父母の世話になっていて、
一時期ぐれて喧嘩ばかりしていましたが、
母親代わりだった姉に恋人が出来、両親がいない上に、
弟がこんな状態では結婚も出来ないと思い、
そういう生活を辞めて、
両親の残してくれた保険金で大学も出ました。
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喧嘩が強かった訳では無いのですが、殴り合いになっても
喧嘩慣れしていない課長だけには
負ける気がしなかったので、死ぬまで殴ってやる気で
部屋の前まで行くと、私にとって良かったのか、
課長にとって良かったのかは分かりませんが、何
処かに出掛けている様で、電気も点いておらず、
ドアにもたれて考えている内に、
だんだんと冷静になってきました。
両親を早く亡くした私は、やはり子供達の事が気になり。
『課長を殺してしまって、
何年も刑務所に入ることになったら、
子供達はどうなってしまうのだろう?
殺すまで行かなくても、やはり逮捕されると、
後ろ指を刺され、
肩身の狭い暮らしをさせてしまうだろうな。』
私が離婚しないのは、妻に未練があった事も有りますが
子供達を片親にしたくないという事も大きかったです。
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そんな事を考えていた時、人の気配がして顔を上げると。
「西山君!!」
冷静になっていた筈でしたが、課長の顔を見た瞬間、
手が先に出ていました。
よろけて尻餅を付いた課長に馬乗りになり、更に殴ると。
「どうしました?警察を呼びましょうか?」
振り向くと、隣のドアが少し開いていて、
若い男が覗いていました。
「いや。何でも無い。友達と意見が食い違って、
少し興奮しただけだ。西山君、中で話そう。」
私が課長から降りると、
課長は頬を押さえながら鍵を開けて入って行ったので、
私も入り、土足のまま上がってソフアーに座ると、
課長は以前と同じ様に土下座して。
「すまん。悪かった。」
それだけ言うと、後は無言で土下座しています。
私も、どうやって決着を付ければ良いのか、
どうやって気を収めれば良いのか分からず、
無言でいました。
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しばらく沈黙が続き、その間私は、
どの様に決着をつければ良いか考えていました。
勿論、課長を殺してしまいたい気持ちは有りましたが、
実際、殺人までは出来ない事は分かっていたので、
課長の一番困る事は何かを考えましたが、
一人身で家族という弱みの無い課長には、
お金と会社での地位しかないと思い。
「黙っていないで、何とか言えよ。どうするつもりだ。」
「私には何も言えない。殴るなり、
殺すなり好きにしてくれ。」
キッチンへ行き、包丁を持って来て彼の前に置き。
「お前のせいで俺の人生は無茶苦茶だ。人殺しになって、
これ以上駄目になるのは御免だ。自分で死んでくれ。」
計算高い課長が、逆に私を刺して、
人生を棒に振る事はしないと確信があり、
また、これはお得意の演技で、反省している筈が無く、
自分を刺す事も無いと
分かっていたので、冷静な目で見ていると、
やはり課長は、一度包丁を持って
自分の首に当てたものの、すぐに下に置いて。
「死んでお詫びしようと思ったが、怖くて出来ない。
他の条件なら何でも呑む。
どうかこれだけは許してくれ。頼む。」
今回は前回とは私の怒りも違う事を示したかっただけで、
こうなる事は分かっていました。
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「それなら、もう二度と妻に近寄るな。俺
の出張をすぐに減らせ。お前の顔を見たくないから、
俺と顔を合わさない部署に代われ。
それが出来なければ会社を辞めろ。
それと慰謝料の一時金として百万。
あくまでも一時金で、後は今後のお前の態度で決める。
あれから俺も調べたが、
確か慰謝料の請求は3年余裕が有ったよな?
例えその時1円も取れなくても、
皆に知られ様と裁判をする覚悟は出来ている。
それと、俺はお前の事を一切信用していない。
前回の様に念書も誓約書も書かん。
すぐには和解しないで全て継続中にする。
その代わり証拠として詫び状は書いてもらう。
どうだ?全ての条件を呑めるか?」
課長は寝室に行くと札束を持って来て、私の前に置き
「ここに百万有る。他の条件も全て呑むから、
許してくれ。ただ顔を合わさない部署に移動するのは、
すぐには無理だ。必ず意に沿うようにするから、
これだけは少し猶予をくれ。お願いだ。」
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