「姉との体験」俺と姉貴③
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日に日にゲッソリしてくる俺。
ある日、学校で友達のトモノリに突っ込まれた。
「オイ、ヨシヒコ。お前、
なんで最近そんなにやつれてンの?」
「……ン? ああ、俺ね。いろいろと悩みがあるんだよ」
「悩みィ? お前が?
オイ、マイちゃんとなんかあったのか?」
「マイコとはなんにもねェよ。いろいろ家族のことで……」
ここまでつい言ってしまった自分にどきりとした。
「家族? 何、おばさんに怒られたのか?
こら~よしひこちゃん~とか」
「違ェよ! 小学生じゃないんだから」
ホッとした。考えてみれば、
そんな突拍子もないことを他人がわかるはずもない。
と、高を括っていた俺に、
トモノリの言葉がぐさりと突き刺さった。
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「じゃあ姉ちゃんに欲情したんだろ」
「ち、違うって! なんで俺が姉貴に欲情するんだよ!」
「あ? 何興奮してンだよ、ヨシヒコ。冗談だろ?」
冷静に考えれば、バカな高校生同士がふざけあっているだけだ
友達の女兄弟にちょっかいを出すような冗談を言うでしょ。
アレ。 しかし奇しくも違う意味で
ズバリ的中した俺には、ちょっとキツかった。
「でもレイコさん、スゲェかわいいよなァ。
マジかわいいよ……」
「オイ! 何、ヒトの姉貴で遠い目をしてンだよ!」
「ヨシヒコ、お前は俺の弟になるんだな……」
「バカ言ってンじゃねェよ!」
俺の中で、何かが加速し始めた。アネキハカワイイ。
本当はいいと思っているのに、
ダメだと頑なに信じていたものが、
実はOKという理解に傾くと、
あとは急坂を転げ落ちるごとく。
血はつながっていないとはいえ、
姉貴は兄弟であり、家族なんだから、
絶対に、絶対に手を出しちゃダメだと
念仏のように唱えていた俺は、
第三者であるトモノリに背中を押された格好で――
トモノリは そんなつもりは毛頭ないんだろうけど――
いけない方向に歩み始めた。
そうだ、いくら制度上兄弟っていったって、
もういいんだよな。
俺の頭の中は、自説を無理矢理肯定している。
そのとき、携帯が鳴った。
彼女――マイコっていいます――からだ。
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「もしもし、ヨシヒコ? 今どこ?」
「あ? ああ。学校出たところ。帰っている最中」
「信じられん。なんで私を置いていくの?
待ってたンだよ?」
「あ、ゴメン! マジでゴメン。
ちょっと用があって急いでいたもンで」
「ッたくー。彼女が襲われてもいいのか?
まあいいや、今日は」
そうだった。
マイコと帰る約束をしていたのにすっかり忘れていた。
というより、ここ数日、
学校でマイコと会っていたにもかかわらず、
アイツの顔よりも姉貴の顔が浮かんでくる回数のほうが多い
俺、マズイことになっているのか?
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ふらふらと歩き続け、家に着く。
あの出来事以来、家に入りづらい。
ドアノブを回すけど、家にだれもいないのはわかっている
オフクロも仕事中。
鍵を外してドアをあけると……またトオルだよ。
アイツが来ている。
俺はトオルと鉢合わせて会話をするのも嫌なので、
そっと自室に戻る。 案の定、
姉貴とトオルは部屋でなにやら話をしているようだった
「最近さ、ヨシヒコがなんだかヘンなの」
「ヨシヒコ君が?
もともとそんなに口数は多くないからなァ」
「そうじゃなくてね、なんだか思い詰めているみたいなのよ」
「ふーん。彼女に振られたとか、彼女とケンカしたとか」
「それしかないの? トオル」
「あの年頃の男なんてそんなもンだって」
確かに当たっているよ、トオルさん(藁
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ただな、トオルさん。
俺の頭を悩ませているのはほかならない、アンタの女だよ。
と俺は、間仕切りの向こうに飛び込んでいきたい気分だった。
俺は、姉貴がトオルと一緒にいるという事実がとても辛かった。
彼らの会話一言一言がキツイ。
ヤバイ、俺、本当に姉貴を意識している。
聞きたくない、ここにいたくない――
けど一挙手一投足を監視したい。
隣室で弟がもだえ苦しんでいるとはつゆ知らず、
向こうは盛り上がってきた。
「ちょっとトオル! ダメだって。ダメ!」
「そんな殺生な。だってレイコ、その格好は生殺しです」
「だってヨシヒコが帰ってきちゃうもん」
「じゃあヨシヒコ君が帰ってこなければいいんだな?」
おいおい……。
「だってもしかするとヨシヒコ、もう帰っているかもしれない」
「だったら丸聞こえか? それもいいじゃねェか」
「バカ! やめてよね」
「じゃあ俺が見てきてやるよ。オーイ、ヨシヒコくーん!!」
「バッバカ! やめてよ!」
「じゃあお前が見てきてよ」
「……わかった」
姉貴、やっぱりトオルとセックスしたいんだ(泣)。
どうしよう。 ヤバイ、姉貴がやってきた! 隠れなきゃ!
なんで俺が隠れなきゃいけないのかワカランが、
俺はとにかく隠れた。
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「姉との体験」俺と姉貴②
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ヤバイ。ヤバイものを見てしまった。
俺は血縁じゃない。ショックだった。
トボトボと帰途につく俺。住み慣れた自分の家が
何かよそよそしく見える。
玄関に入って、何万回と通ったいつもの廊下も、
自分の部屋も、 なんだか色彩を欠いていて、
すべて灰色に見える。ショック。
しばらくボーっとしていると、
ドアをノックする音。
「ヨシヒコ? いる? 開けるよ!」。
姉貴が入ってきた。
姉貴の用事はたわいもないこと。
別に取り立てて書くようなことでもない。
だけど俺は、自分と血がつながっていないのに
兄弟だと思っていた 目の前の女の子に、
不思議な違和感と懐かしさを感じていた。
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それから数日。
俺はその事実をだれにも打ち明けることなく、
ひとりでそのことを心にしまっておこうと決心した。
今さら過去を引っ張り出しても何も始まらないし、
むしろ失うものが大きすぎる。
そんな判断からそうすることにした。
ところが理性では理解していても、
本能は正直になるらしい。
ある夜、両親の帰りが遅くなったとき、
俺と姉貴はリビングで、
夕食を終えたあとのボーっとしたひとときを、
テレビを前にして過ごしていた。
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なんの番組を見ていたか忘れたけど、
見るともなしに見る俺たち。
「ヨシヒコ、お茶飲む?」
「ん。欲しい。あ、俺の氷入れて」
「めんどくさい。自分でやれ」
なんて会話を交わして姉貴が立ち上がった。
俺はテレビを見続けていると、
いきなり頬を冷たい感触が襲った。
「ウオ! 冷てェ!」
「アハハハ。ほら、氷入れてきたよ」
「ッたくなんだよ。子供じゃねェんだから。サンキュ」
と俺が手を伸ばしたとき、
うっかりコップを落としてしまった。
「あ! ヤベェ! こぼしちゃった!」
「見りゃわかるわよ!
早く拭かないとカーペットに染みちゃう!」
「ぞうきんぞうきん! どこだっけ!」
あわててお茶を拭き取る俺たち。
結構な量をこぼしちゃっただけに、
掃除はかなり難儀した。
一所懸命拭き取っているとき、ふと目を上げると、
姉貴の胸の谷間が俺の目に付き刺さった。
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その日は結構過ごしやすかった夏で、
俺たちはかなり薄着だった。
そのため、前かがみになると思い切り見えてしまったわけ。
それまで何度も見慣れていた姉貴の体だったけど、
「血縁じゃない」
という事実を理解している俺には、刺激が強すぎた。
不思議なもので、血のつながった兄弟のときには、
まったくそういう対象としてみることは皆無だったのに、
血縁じゃないと知らされるだけで、
よくない気分になってしまう。
「あー! こっちにもこぼしたでしょ、ヨシヒコ! もう!」
くるりと返って、姉貴は向こう側を拭き始める。
ケツがこっちを向く。パンツが透けて見える……
ヤバイ! ダメだ! これは姉貴!
その晩、俺は初めて姉貴をオカズにした。
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その晩から、俺はおかしくなり始めた。
いや、「俺はおかしい」と思わなければやっていられなかった。
何をしていてもどこにいても、姉貴が頭から離れない。
――アレは姉貴! アレは姉貴! ダメだって!――
何度も何度も反芻する。自身を抑制する。だけど、
振り切っても振り切っても姉貴の顔が浮かんでくる。
そんなわけで、家に帰るのがとても辛くなった。
姉貴と顔を合わせるたび、俺は逃げるように部屋に飛び込む。
訝る家族。無理もない。急に態度が変わった末っ子を、
明らかに家族は手を焼いていた。
俺もどうすればいいかわからなかった。
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「姉との体験」俺と姉貴
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俺(ヨシヒコ)は、どこにでもいるありふれた高校生だった。
姉貴(レイコ)とふたり兄弟。あとはオヤジとオフクロ。
郊外に住む、平凡ないち家庭のはずだった。
よく「美人の姉ちゃんにムラムラする」だの
「姉貴を犯す」だの、
妄想みたいな。そんなのは俺には無理。
だって家族だからね。確かにウチの姉貴は
かわいい部類に入るらしいけど、 所詮、姉貴は姉貴。
風呂あがりにバスタオル一枚でほっつき歩いていたって、
下着がすっ転がっていたって、
欲情しろっていうのが無理。血縁なら。
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俺ン家は小さな持ち家のため、人数分の部屋がない。
だからオヤジの書斎なんてもってのほか、
俺も姉貴と同室。 もちろん、色気づいてからは
ちゃんと高い間仕切りで分けてある。
でも完全な別室じゃないから、音は漏れちゃう。
そんな構造。
試験期間中のある日、俺は友達と出かける用事もなく、
サッサと帰ってきた。
帰ってはきたけど、やることがない。
明日の試験勉強もする気がない。
仕方がないので、近くのコンビニに行くことにした。
暇つぶしに。
しばらくコンビニで立ち読みかなんかして家に帰ると、
見慣れない男物の靴が玄関にあった。
姉貴の彼氏(トオル)が来ているらしい。
俺はどうもコイツが苦手で、どうしても馴染めない。
トオルもそんな俺を知ってか知らないでか、
最近は目を合わせても
頭を下げるくらいになっちゃった。
初めはいろいろしゃべったりもしたんだけど。
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自分の部屋に戻ると、案の定話し声がする。
やっぱりトオルだ。
結構な音量でCDをかけている。ッたく、うるせェな。
いつも俺がCD聴いていると、
スゲェ剣幕で怒鳴り込んでくるのはだれだよ――
なんてイライラしていると、
ところどころに姉貴とトオルの会話が耳に入る。
「なあレイコ、いいだろ。だれもいないんだからさ」
「ダメだって!
ヨシヒコだって夕方になると帰ってくるんだから」
「ヨシヒコ君だって小学生じゃねェんだから、
そんなにすぐは帰ってこないだろ」
なんの話をしているんだ? 俺が隣室(同室)にいるんだから、
セックスするのだけは勘弁してくれよ。
予感は的中。急にCDの音量が上がったかと思うと、
姉貴の喘ぎ声が聞こえてきた。マジで勘弁してくれ。
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「ちょっとトオル! 本当にダメ……ちょッ……ダメだって――ウゥン!」
「なんだよレイコ。ダメなのかいいのかはっきりしろよ」
トオルがウチに遊びに来たことは何度もあるけど、
セックスを始めちゃったのに遭遇したのは、俺は初めて。
しかし姉貴、やっぱり気になったらしく、トオルを一喝。
「ダメ! ここではしないって言ったでしょ!」
トオル、ビビッてやめた模様。
そうそう、勘弁してくれよ。
お前らがいないと思っている俺はここにいるんだから、
と胸をなでおろしていると、
俺にとって信じられないことが耳に入ってきた。
「なんだよ、いいだろ。
どうせヨシヒコはお前と血がつながっていないんだから」
何? なんだって?
「なんでそういうこと言うの? 関係ないでしょ!」
「ああ、ゴメンゴメン。ついイライラしちゃって。
本当ゴメン、レイコ」
そのあとも姉貴とトオルはいろいろ話をしていたけど、
俺は頭がグワングワンしていて、全然聞く気にもならなかった。
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昔から「レイコちゃんとヨシヒコ君は似ていないね」
と言われ続けた俺たち。
両親は、姉貴はオフクロ似、
俺はおじいちゃん似と言っていたけど、
正直、自分でもすでに亡くなっていたじいさんに似
ているとは思っていなかった。
しかし血がつながっていないって……
一体どういうことだ?
俺は両親に聞きたいのをガマンして、
ひとまず自分で調べてみた。
役所なんかに自分の用事で行くのは初めて。
いろいろ手間取りながらも
やっとの思いで戸籍を一通申請する。
係の人に呼ばれる数分間、
俺の心臓はまさに爆発しそう。
頭の中でドクンドクンいっているのがわかる。
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