「乱交」 有美ちゃんが、アナルセックスに興味あるって言ったんだぜ?①
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わりと最近の話。
彼女の有美に週末デートを断られた俺は、
週末ヒマになったので急遽
コンパの埋め合わせ要員として悪友に招集された。
そのコンパは3対3のヤリコンということだった。
あまり期待せずに当日、コンパに行くと
そこには、有美がいた。
彼氏のデート断って、ヤリコン参加かよ、
と有美の浮気未遂現場を偶然押さえた俺は
徹底的に有美を無視した。
悪友が有美にモーションかけてきても無視。
有美も気まずいのか、
こっちにアプローチしてくることはなかった。
悪友には有美が俺の彼女だということ
は知らなかった(そんなには親しくない)のだが、
俺もわざわざ有美が彼女だとは言わなかった。
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最初、有美は俺をちらちら見ながら、
申し訳なさそうにしてたのだが、有美は酒に弱く、
酒が進むにつれ俺に遠慮しないようになっていった
俺も、有美のことは無視して、
連れの女の上手そうな方にアプローチしていった。
一次の居酒屋が終わり、二次のカラオケへ。
悪友二人ともが、有美がお気に入りだったようで、
あぶれた女は一次で帰った。
カラオケは、ほとんど歌を歌うことはなく、
有美の両横に悪友二人が陣取って、
盛り上がり、俺は連れの女と話していた。
二次ともなると、おさわりも許容し始める頃、
密着度も高くなる。
無視すると決めたとはいえ、
さすがに俺の彼女なだけに、俺は向こうの状況を
気にし始めていた。
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有美は、悪友二人にいろいろなカクテルを
ちゃんぽんで飲まされていた。
ミニスカートで生足だったので、太腿に手を置かれ、
その内さすられていた。
なもんだから、その内、
ギリギリまでスカートが上げられ、
股の奥をつんつんさせられていた。
有美も対して抵抗はなく、
「えっちー」と軽く諌めるくらい。
はっきり言って逆効果だ。
俺は、だんだんと有美が気になり始め、
連れの女におざなりに話を合わせるようになった。
女はそれが気に入らないらしく、
体を張って(w)俺にモーションをかけてくる。
どうやら、気に入られてるようだ。
胸を揉ませたりもしてくれるのだが、
俺はそっちのけで、有美の方を気にしていた。
(今考えるともったいない)
そうはいっても、女を完全無視という感じではないので
傍から見ると結構いちゃついてるように見えたんだろう
俺も有美に気がいってるのが悪いなと思い、
不機嫌にならない程度に女のフォローをしてた。
女の方も、ヤリコン前提できてるから、結構大胆で、
カクテルの口移しなんかもできちゃったりした。
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ところが、まずいことに、
俺がそういうことになってると
あっちは一時的に落ち着いてたりして、
口移しとかもバッチリ有美に見られていた。
それで、有美がヘソを曲げたかどうかで、
有美も悪友二人のちょっかいに抵抗しなくなっていった。
俺の真似をして カクテルの口移しを試みようとする
悪友にも、有美はなんなく応じた。
有美のかわいい唇に、男の口から注ぎ込まれるカクテル。
それがまたカルアミルクだったりするからいやらしい。
有美の口から白いミルクがこぼれる。
悪友は、こぼれたミルクを拭くドサクサで、
有美の胸にさわったりした。
でも、有美は抵抗なし。ますます調子にのる悪友。
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そんなこんなで有美を気にしつつ、
女の相手をしてた俺だが、ついに女がへそを曲げてしまい
帰ってしまった。
まあそんなに怒ってたというわけでもないんだが
俺に愛想つかせたという感じ。
ついに女は有美だけになった。
旗棒だか端竿だか知らねぇが、
女をオバQから穴キューまでにはしたものの、
どうしてもモロキューにできずに
投げ出したジョーとか言うヘタレから、
女を回されてきた。
確かにオレは穴キューも守備範囲だが、
やはりモロキューが最上だろう。
しかし最初がオバQだったせいか、
どうもこの女の筋は読めねぇ。
バケラッタ根性が染み付いているのかもしれん。
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女が有美一人だけになったことで、
悪友達はさらに大胆になっていった。
なんだかんだ言いくるめて、
有美のブラの中に手を突っ込んでナマ乳を揉む悪友A。
スカートはまくれあがってて、
白いパンティーが丸見え、股の中心に指でつつく悪友B
有美は、なされるままだ。
「やーん」とかは言ってるが、抵抗はしてない。
俺は、有美に対するむかつきと、
結構上質だったやり女を逃した悔しさで、
有美に群がる悪友を止めようとはしなかった。
まあ、勃起はしてたが。
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相変わらず、カクテルを口移しで有美に飲ませる悪友A
パンティーの中に手を入れ始める悪友B。
有美は、悪友Aにカクテルを飲まされたあと、
舌を絡ませてくるのにも嫌がることもなく、
自分から舌を絡ませ。
Bのパンティーの中に進入してくる手に、
次第に股を広げてマンコへの進入をゆるした。
いまや、有美はブラからこぼれた乳をさらけ出し、
それを揉まれながら、舌を絡める深いキスをされ、
パンティーの中でまさぐる手を股をひろげつつ、
あえぎながらも腰を微妙に動かしていた。
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「寝取られ」 目の前で同じ事したらうれしい?(最終回)
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カギを握り、部屋へと戻る。
私は携帯電話を握っていた。
アドレス帳には千春の名前は無い。
一番忘れてはならない電話番号を忘れた。
いや、アドレス帳に頼りすぎて、
初めから覚えてなど無かったのだ。
アドレス帳から千春との共通の友達を探す。
千春を知る私の男友達は、
千春の電話番号など知るはずもない。
そして私が知る千春の女友達の電話番号は
私は誰一人として知らない。
千春の自宅へは行ったことが無い。
千春は両親と同居の為、会うのはいつも私の自宅だ。
どの町に住んでいるかは知っている。
ここから電車で大凡一時間の所だ。
しかしそこから千春の自宅を探しだすのは至難を極める。
それなら駅で待ち伏せしてみたらどうだろう?
通勤時間を狙えば千春は現れる筈だ。
しかし、千春が会社を退職している事に
気づくまでそう時間は掛からなかった。
テレビの上に千春からもらった
誕生日プレゼントの紙袋があった。
中身を空ける。中から新品の財布が出てきた。
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私は高校時代から財布を変えた事がない。
就職して千春に何度となく変えるよう薦められた。
私の財布は、社会人が持つ財布ではないとの事だった。
私はもう使い古してボロボロの財布から、
千春がくれた真新しい財布に中身を入れ替える。
入れ替えながら涙が止まらなかった。
ふと、千春が尋ねて来た時の事を思い出した。
”良ちゃんのお父さんから聞きました。”
千春は親父から聞いてこの住所を知った。
もしかしたら親父が何か知ってるかもしれない。
また親父が電話口に出た。
「千春から電話番号とか聞いてないか!?」
「誰だそれは?」
「この間親父が住所を教えた女の事だ。
連絡先知らないか?」
「そんなの知る訳ないだろう。」
「・・そうか。」
「なんだそれだけか?」
「・・ああ。それだけだ。んじゃあな」
「何だお前は・・
ああそういえば昨日その子から何か届いたぞ。
お前に電話するの忘れてたな。」
「それを早く言え!そこに連絡先書いてあるだろう!」
「ああそうか。でもそんなの取っといてあるかなあ。」
「早く探せ!」
「それが人に物を頼む態度か!」
「いいから早くしてくれ!」
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親父は舌打ちして、乱暴に受話器を置く。
その様子が受話器を通して耳に伝わってきた。
遠くで母親を呼ぶ声がする。
親父が戻ってくるまでの時間が待ち遠しい。
「おう、あったぞ。」
「教えてくれ!」
私は親父が読み上げる千春の自宅の住所と
電話番号を書き留めた。
「ところで何が届いたんだ。」
「ああ何かえらく高級なチョコらしいな、
確か”デコバ”とか言う・・」
「”ゴディバ”じゃないのか?」
千春は私をはじめ家族全員が甘党である事を知っていた。
「ああそれそれ。母さんが喜んでたぞ。
後で手紙書くって言ってた。お前からもお礼言っとけ。」
「わかった。悪かったな。」
「用事はそれだけか?いいなら切るぞ。」
「親父」
「何だ」
「今度帰る時何か買ってってやる。何がいい?」
「めずらしいじゃないか、
そうだな・・んじゃ”万寿”がいいな。」
「マンジュ?」
「久保田の万寿だ。酒屋に行ってそう言えば解る。」
「わかった。買ってくよ。」
「母さんの奴、最近徳用の焼酎ばっかり買ってきやがんだよ。
未だに酒と焼酎の違いが解ってない。
お前からも言ってやってくれ。」
「まあ仲良くやってくれ。んじゃあな。」
何も言わず親父から電話を切る。これが親父の悪い癖だ。
この3週間後、まるで親父に騙されたかの様に
財布の中身から1万3000円が消えていった。
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電話はしなかった。この日私は会社を休んだ。
直接千春の自宅まで向かった。
千春と同じ事をしてみようと思った。
玄関のチャイムを鳴らす。
しばらくして千春の母親が出てきた。
私は自分の名を告げ、千春を呼び出してもらった。
すると母親は微笑み、千春を呼びに行った。
千春の母親は全てを悟っているようだった。
千春は驚くだろうか?
あの日から5日間が経過していた。
千春が階段から駆け降りて来た。
千春の部屋は2階らしい。
「良ちゃん?!」
千春が驚いていた。
「どうして?」
ジーンズに真っ白なブラウス。
ラフな格好だが、そんな姿が千春には一番似合っている。
「”デコバ”のチョコレート悪かったな。
お袋が喜んでたそうだ。」
「ゴディバでしょ」
千春が笑顔に変わった。
皮肉にも2度に渡り二人を引き合わせたのは親父だった。
「こんな所まで・・
電話してくれればそっち行ったのに・・」
「俺と同じ思いをさせてやろうと・・」
「上がって」
千春の部屋に初めて入った。
整理整頓という言葉が最も似合う、
千春らしい部屋だった。
壁にかかるコルクボードは、
私と千春の写真で埋め尽くされていた。
その全てが幸せの絶頂の二人を映し出していた。
やがて千春がコーヒーを両手に2階に上がってきた。
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「座って」
「あ、うん。」
「初めてだね。部屋入るの。」
「綺麗にしてるんだな。」
「私A型だもん」
しばらく沈黙した。先に切り出したのは私の方だった。
「ずっと千春の事を考えてた。」
「私も良ちゃんの事考えてた」
「やっぱり千春が好きだ。別れたくない。」
「・・・・・・。」
千春がうつむいた。
「彼女はいいの?」
「あんなの嘘だ。彼女なんかいないよ。」
千春が顔を上げる。既にその瞳には涙が溜まっていた。
「私を許せるの?」
千春は涙声だった。
千春は私の前で随分と惨めな思いをした筈だ。
随分と傷ついた筈だ。
それでも千春は私を必要としてくれた。
「もう許すとか許さないとかどうでも良くなった。
千春が居てくれればそれでいい。」
「良ちゃん・・」
「一緒に暮らそう千春」
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高平と千春の関係は同じ職場の先輩と後輩で、
千春の新人研修の担当していたのが高平だったと言う。
いつも千春と行動を共にする高平に、
仕事帰りによく食事に誘われたらしい。
高平は千春の研修担当だ。
食事に誘う口実はいくらでもある。
その日も高平に食事に誘われたらしい。
いささか酔った千春は 朝目覚めると高平が横で寝ていたと言う。
千春が推測するに、この時千春の手帳を見られ、
私の住所を高平が知ったのでは無いかと言う事だった。
それからも高平は執拗に千春を誘う。
千春は何度もそれを拒否したが、
ある時高平が私に関係を暴露すると脅してきたらしい。
千春は私への後ろめたさを感じ、
もう一度だけ高平に体を許したという。
そこからが始まりだった。
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だんだんエスカレートしてきた高平は、
千春に色々な事を要求するようになった。
千春も雪だるま式に私への秘密が増え、
受けざるを得なくなったと言う。
やがて高平のSEXに溺れていくようになり、
最終的にはあのような千春になっていったのだ。
しかし、高平はそれだけに留まらず
さらなる興奮を求めるようになる。
それがあの私への挑発だろう。
その時点で恐らく千春は、
高平にとってただの玩具に成り下っていたのだ。
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「寝取られ」 目の前で同じ事したらうれしい?⑤
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「ああうれしいねえ。うれしいけどもう服着ていいよ。」
私は千春の顔を見て心が痛んだ。
やっぱり心のどこかで忘れらない想いがある。
「うれしい?」
千春は涙声が混じっているが、明るい声で私に問い掛ける。
強がっているのが手に取るように解る。
もう間もなくビデオの中の千春が目の前に現れるだろう。
しかし、この千春の悲しい作り笑顔だけは、
ビデオの中の千春と重ねる事ができなかった。
私は何も答えなかった。
千春の私を見つめる大きな瞳が私の視線をそらす。
そしてそんな私を見て千春が答える。
「わかった!」
涙声の混じった明るい千春の声だった。
しばらくして視線を千春に戻す。
全裸の千春がそこにいた。
千春はそのままベッドにもたれかかった。
涙が頬を伝っていた。
そしてゆっくりと足を開いていった。
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私の鼓動は血管が破裂しそうなほど高まっていた。
千春を止める事が出来なかった。
初めて現実で見る千春のこの姿から目が離せなかった。
千春の指が動く。
片方の指で千春のそれを開く。
開いた先にはっきりと千春の突起物が見える。
指は溢れ出る愛液をすくい、
突起物の上を円を描くように動く。
しばらくその繰り返しが続く。
早く終わらせたいという気持ちがそうさせるのか、
千春は真剣だった。
しかし千春は声を出さなかった。
私と視線を合わすこともなかった。
突然指の動きが早くなる。
千春の表情が変わってゆく。
今まで閉じたままの口がわずかに開く。
そこからかすかな息遣いが聞こえて来る。
一瞬体が硬直する。眉間に皺が集中する。
間もなく千春が絶頂を迎えた。
興奮は極みに達した。
私は自分を抑える事が出来なかった。
服を脱ぎ捨て、千春をベッドに押し倒した。
千春に覆い被さる。
唇を重ねる。舌を絡ませる。
千春が腕を絡ませてくる。
二人共涙を流していた。
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(今日一日だけだ・・・今日一日だけだ・・)
そう何度も自分に言い聞かせながら千春を抱いた。
目が覚めると千春が台所に立っていた。
昨夜、二人は全てを忘れ何度も交わった。
「おはよう」
千春が笑顔で話し掛ける。
「ああ」
タバコに火をつけ視線をそらす。
千春を見ているのが辛かった。
私はスーツに着替えた。
早めの出勤の準備をした。
キーケースから1つしかないこの部屋のカギを抜き
テーブルの上に置いた。
「カギは一つしかないからポストに入れておいてくれ。」
私は遠まわしに千春に帰れと言っている。
そして千春はその言葉を予期していたかの様に
唇をかみ締め、やがて静かに頷いた。
「じゃあ行って来る」
その言葉を聞き千春の目から涙がこぼれた。
「もうすぐ出来るから・・ね?・・食べてって・・・」
床にはコンビニの袋が置いてあった。
恐らく朝早く起きて買ってきたのだろう。
私は再び視線を落とす。
そして持っていたカバンを置いた。
千春の作った朝食がテーブルに揃った。
ご飯に味噌汁、ししゃもにハムエッグ、
そして納豆にサラダ。
コンビニで揃う材料と言ったらこんなものだろう。
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それでもなぜか千春の味がした。
運んできたのは私の分だけだった。
「お前は食わないのか?」
「いい。良ちゃんの食べる所見てる。」
「食いづらいじゃないか」
「いいじゃない。それよりごめんね、
こんなものしか作れなくて・・」
「十分だ」
千春が作った朝食を食べ終え、私は再び立ち上がった
千春は座ったまま私の方を見なかった。
「じゃあ行って来る。カギよろしく」
千春が黙って頷いた。
私が出て行くまで、千春はその場を動かなかった。
(これでいいんだ・・)
私は自分に言い聞かせ、部屋を後にした。
午後になると私は得意先まわりを始める。
しかし今日は何もやる気が起きなかった。
一番仲の良い所へ連絡し、訪問した事にしてもらった。
缶コーヒーを買って、公園のベンチへ腰掛けた。
千春の事を想い浮かべる。まだ部屋にいるだろうか?
忘れかけてた頃に突然やってきた千春との再会。
そのお陰で今も頭の中は千春一色だ。
会わなければこんな思いをする事も無かった。
ふと、ある事を思い出した。
お門違いなのはわかっていた。
それでも私は実家へ電話した。
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言うまでもなく千春に住所を勝手に教えた
親父に抗議するためだ。
今年定年退職して、普段は家にいる。
私より無口で、必要な事しか喋らない頑固親父だ。
しばらくして親父が電話口に出た。
「なぜ住所を教えたんだ。」
「なぜって聞かれたからだ。」
親父は何の事か聞きもしなかった。
それよりこの開き直った態度が許せない。
「教えるなと言っておいたろう!」
「生意気言うな!どんな理由があったにせよ、
女の子をあんなに泣かすんじゃない!」
親父が突然電話口で怒鳴った。
「理由も知らないで勝手な事言うな!」
私も公園である事を忘れていた。
「あの子がお前を裏切ったんだろう。
あの子から聞いた。随分自分を責めていたぞ。」
「そうだ。裏切りは許せない。
それがなぜ教える事に繋がる?」
「いいか?年頃の女の子がそれを話すのに
どれだけ勇気がいったか解るか?
しかも相手の父親にだ。俺はそれに応えただけだ。」
「・・・そんなの知るか」
「それに俺は教えないなんて約束してないぞ。
約束したのは母さんだろ?」
「ガキみたいないい訳するな!」
「お前はあの子が好きなのか?」
「関係ないだろそんな事」
「好きなら度量を持て。相手を許せる度量を持て。」
「・・・・好き勝手言いやがって・・」
「まあたまには帰ってこい。以上!」
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突然電話が切れた。
それにしてもこちらから電話しているのに
”以上”で締めくくる親父には呆れた。
しばらく公園を歩いた。
会社に戻るまでにはまだ十分な時間がある。
”度量”
頭の中に親父の言葉が残っていた。
千春が好きか?
---考えるまでも無い。好きだ。
千春と出会った事を後悔しているか?
---していない。
それなら千春を許せるか?
---・・・・・・・・。
自問自答を繰り返す。
いつになっても答えは出てこなかった。
気がつくと既に5時を回っていた。
私は会社に戻る為、駅まで歩く。
駅に着くまでも着いてからも考えるのは千春の事ばかりだ。
ホームに勢いよく電車が飛び込んでくる。
お前の生き甲斐は何だ?
---以前は千春。今は・・・。
もう一度千春に会いたいか?
---会いたい。
千春が好きか?
---好きだ。大好きだ。
私はやっぱり千春が好きだ。
目の前の電車のドアが閉まる。
それは私をホームに残し、ゆっくりと動き出した。
気がつくと私を乗せた電車は自宅の最寄駅へ向け、
既に走りだしていた。
許す許さないはもうどうでもいい。
私は千春が好きだ。
千春を失いたくない。
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千春、千春、千春。
もう千春の事しか頭に浮かばない。
駅を出ると、自宅まで走り出した。
千春はまだ部屋にいる。
そう自分に言い聞かせ、全速力で走る。
自宅へ着くとポストにわき目もふらず玄関まで走る。
ドアノブを勢い良く回した。
・・・しかし、ドアは開かなかった。
ポストへ向かった。
震える手でポストのつまみを掴む。
まるで怖いものでも見るかのように、
ポストの中を覗き込んだ。
2つ折りになったメモ用紙が見える。
そしてその上に私の部屋のカギが置いてあった。
メモ用紙を手に取り、開いた。
千春からの最後のメッセージがそこにあった。
”ありがとう良ちゃん”
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